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住友電工(5802) 2026年6月をピークに3カ月半で44%下落、業績は上方修正でもチャートは天井を付けた形

2026年6月3日の朝、住友電工の株は前日の終値より13.8%高い3,703円で寄り付き、すぐに3,712.5円の上場来高値を付けた。その日の終値は3,491円で、始値から200円あまり押し戻されている。3カ月半後の9月18日、終値は2,080.5円まで下がり、高値から44%安くなった。この間に会社は4〜6月期の営業利益を前年同期の1.6倍に伸ばし、通期の予想も引き上げている。業績が伸びているのに株価が4割以上下げると、一時的な押し目なのか、天井を付けたあとの下げの途中なのかが気になる。手元のデータベースにある日足に、ウィリアム・オニールが大きく上げた株の天井として挙げた形を当てはめると、答えは後者に近かった。天井の形は6月から7月にかけてでき上がり、7月31日の上方修正も、光ファイバーと光部品への期待がしぼむ流れを止められていない。

住友電工(5802) 6月の高値から44%下落、業績は増益でもチャートは天井を付けた形

6月3日の高値から9月18日までの値動き

天井からの3カ月半は、決算やニュースのたびに上へ跳ねては押し戻される動きの繰り返しだった。株価は6月末の株式分割(1株を4株に分けた)を調整した値で書く。

2026年5月14日
3,257円まで上げたあと反落した。のちに天井の「左肩」になる山。
6月3日
前日比13.8%高で寄り付き、上場来高値3,712.5円を付けた。終値は3,491円で、始値より6%近く安く引けた。
6月10日
前日比11.7%安の2,657円。高値のあと初めて、50日移動平均線を終値で割った。
6月19日〜23日
19日に古河電工・フジクラとそろって急伸し、前日比10.5%高。23日には3,586円まで上げたが、同じ日に前日比6.7%安で引けた。これが「右肩」になる。
7月7日
6月11日の安値2,454円を終値で割り込み、天井の形が完成した。
7月31日
4〜6月期決算を発表し、通期予想を引き上げた。この日は前日比16%高で寄り付いたが、終値は3.6%高にとどまり、次の取引日の8月3日は5.6%安だった。
8月18日
50日線と同じ2,584円まで戻して失速し、翌19日は前日比8.6%安。
9月11日〜18日
11日に50日線が200日線を下に抜けた。15日に1,961円まで下げ、18日の終値は2,080.5円。

日付順に見ると、上に窓を開けて始まった日ほど、その日のうちに売られている。7月以降、前日の終値より3%以上高く寄り付いた日は8回あり、そのうち7回は始値より安く引けた。上がったところで売りたい人が、3カ月にわたって上に待っていた。

4〜6月期の営業利益は前年の1.6倍、光の事業は3.4倍

業績だけを見れば、株価が下がる理由は見当たらない。7月31日に発表した4〜6月期は、売上高が1兆3,306億円で前年同期比15.9%増、営業利益が971億円で61.0%増だった。伸びを引っぱったのは情報通信で、生成AI向けデータセンターの光配線機器と光デバイスが売れ、営業利益は前年同期の81億円から272億円に増えた。

事業 売上高 営業利益 営業利益の前年同期比 通期の営業利益予想(7月31日修正)
環境エネルギー2,530億円153億円+16億円440億→500億円
情報通信865億円272億円+191億円1,300億→1,330億円
自動車8,028億円260億円−6億円1,840億→1,800億円
エレクトロニクス1,106億円117億円+54億円330億→370億円
産業素材他1,157億円170億円+114億円340億→500億円
連結1兆3,306億円971億円+368億円4,250億→4,500億円

2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の実績。事業別の合計と連結の差は事業間の取引の消去による。

この表は、住友電工という会社の形も映している。情報通信の売上高は865億円で全体の7%に満たず、ワイヤーハーネス(車の中の配線)を中心とする自動車事業が8,028億円と6割を占める。光で稼ぐ力は急に伸びているが、会社全体の売上はまだ自動車に大きく寄っていて、その自動車は中東情勢による原材料高と銅高で減益だった。

通期予想は、営業利益を4,250億円から4,500億円へ、純利益を3,200億円から3,400億円へ引き上げた。1株利益の予想は108.99円、配当は年39円の予定だ。ただ、情報通信の通期予想は1,300億円から1,330億円への小幅な修正にとどまった。上期の予想540億円から4〜6月期の実績272億円を引くと、7〜9月期は268億円になり、4〜6月期とほぼ同じ水準を置いている。会社は光の利益が足元の水準で横ばいになる前提で予想を組んだ。

為替の前提も控えめで、7〜9月期以降は1ドル150円と置いている。9月18日のドル円は156円台で、前提より円安にある。このまま進めば、10月末ごろの7〜9月期決算で予想をもう一段引き上げる余地は残る。それでも7月31日の上方修正のあと、株価は下げた。株を売った人たちが気にしていたのは今期の数字より、光の伸びがこの先どこまで続くかのほうだった。

PERは19倍で光の専業2社より低く、計画の達成をほぼ織り込んだ値段

同業の電線2社と並べると、住友電工は低く評価されている。9月18日時点の数字は次のとおり。

銘柄 終値 2026年の高値からの下落率 予想PER PBR 配当利回り
住友電工(5802)2,080.5円−44%(6月3日)19.1倍2.29倍1.87%
フジクラ(5803)4,952円−38%(5月14日)25.1倍13.47倍0.77%
古河電工(5801)3,901円−38%(5月27日)26.1倍6.28倍0.56%

下落率は2026年のザラ場高値から9月18日の終値まで。PERは会社予想の1株利益をもとにした値。

予想PER(株価が1株利益の何倍か)は19.1倍で、フジクラの25.1倍、古河電工の26.1倍より低く、PBRでは差がさらに開く。売上の6割が自動車なので、光の専業に近い2社と同じ値付けにはなりにくい。高値からの下げも3社の中で一番きつく、光への期待がしぼむ局面では、光の比率が小さい住友電工のほうが先に見切られた。

投資の姿勢の違いも、値付けに表れている。フジクラが米国での生産や国内外の新工場を打ち出す一方、住友電工の井上治社長は7月10日の日本経済新聞のインタビューで、光ファイバーの新工場や米国での生産について「2028年度までに需要を見極め判断する」と述べた。作りすぎの心配が小さい点は財務の面で安心できるが、株式市場では、光の伸びを取りにいく勢いが弱いと受け止められやすい。5月に書いたフジクラの記事では、最高益のあとでも今期予想が横ばいだっただけで5営業日に45%下げた経緯を追った。電線株は今、利益の水準より伸びの見通しで値段が決まっている。

5月に発表した中期経営計画2028は、2028年度に売上高6兆円、営業利益6,000億円を目標に置き、そのうち2,400億円を情報通信で稼ぐとしている。営業利益が6,000億円に届き、純利益がその75%程度になると、1株利益はおよそ140円になる。株数は今の約31億株のまま置いた自分の試算だが、PERを15〜18倍とすれば株価は2,100〜2,500円で、9月18日の2,080.5円は、計画をほぼ達成する前提の値段にあたる。1年前の2025年9月18日の株価は1,052円で、44%下げた今も、その2倍の水準にある。個人的には、ここに今の株価の弱さの根っこがあると見ている。計画どおりに進んでも大きく割安とは言えず、光の伸びが鈍れば、PERがもう一段下がる余地が残る。

オニールの天井の型に当てはめると6〜7月に完成していた形

業績と値付けだけでは、この下げがどこまで続くのかは分からない。そこでチャートの形を確かめた。物差しにしたのは、ウィリアム・オニールとギル・モラレスが書いた『オニールの空売り練習帖』で、大きく上げた人気株が天井を付けるときの形を実際のチャートで整理した本だ。9月8日のメガバンク3社の記事でも、同じ物差しで天井の兆しを点検した。今回は、手元のデータベースに入れている住友電工の日足(2023年1月から2026年9月18日までの909営業日)に、この本の8つの型を判定する自作のプログラムを9月23日にかけ、結果をチャートでも目で確かめた。

住友電工の日足チャート。5月14日の左肩、6月3日の頭、6月23日の右肩と、7月7日の首の線割れ、8月18日の50日線での失速を示す
住友電工の日足と50日・200日移動平均線、出来高、TOPIXに対する強さ(6月3日を100とした値)。赤は始値より高く引けた日、青は安く引けた日。
型 判定 日付と根拠
三尊天井成立左肩5月14日の3,257円、頭6月3日の3,712.5円、右肩6月23日の3,586円。首の線(6月11日の安値2,454円)を7月7日に終値で割った
ダブルトップ成立右肩が頭より3%ほど低いだけなので、6月3日と6月23日の2つの山とも読める。首の線は同じ
終盤の踊り場からの上抜け失敗成立2025年4月の底から数えて3〜4段目の踊り場(3月の高値から3月31日の2,095円まで23%下げた横ばい)を5月7日に上抜けたが、その安値を7月29日に終値で割った
最後の急騰一部あてはまる5月20日の安値から6月3日の高値まで10営業日で48%上げ、終値は200日線を92%上回った。ただし6月3日の出来高は50日平均の0.89倍で、大商いではなかった
50日線への戻り失敗成立7月1日に終値で割り込み、8月18日の戻り高値2,584円がその日の50日線と同じ値。翌日8.6%安
弱い戻り成立8月3日から17日の戻りは、6月22日からの下げ幅の31%しか取り戻せず、戻りの起点2,062円を9月14日と15日に続けて終値で割った
200日線の下での下落始まったところ8月19日以降は200日線の下にあり、9月11日に50日線が200日線を下に抜けた

いちばんはっきりしているのは三尊天井だ。3つの山のうち真ん中がいちばん高い形で、山と山のあいだにできた安値を結ぶ線(首の線)を割ると形が完成する。住友電工では5月14日、6月3日、6月23日が3つの山にあたり、首の線の2,454円を7月7日に割り込んだ。右の山は真ん中より3%ほど低いだけなので、6月3日と6月23日の2つの山でできた天井とも読めるが、どちらに読んでも、首の線を割った時点で天井の形はでき上がっている。

6月の急騰にも天井らしさがあった。オニールは、長く上げた株が最後に1〜3週間で25〜50%急騰し、200日線から大きく離れたところを天井の典型に挙げている。住友電工は5月20日の安値から10営業日で48%上げ、6月3日の終値は200日線を92%上回った。6月3日と6月19日はどちらも14%前後高く寄り付き、その日のうちに押し戻された。

一方で、崩れ方に派手さはなかった。6月3日の出来高は50日平均の0.89倍、首の線を割った7月7日も0.98倍で、ある日に大量の売りが出たというより、上がった日ごとに少しずつ売られていった。オニールが「売り抜け日」と呼ぶ、前日より出来高が増えて0.2%以上下げた日を数えると、7月8日までの25営業日に11日あった。オニールは本来、日経平均のような指数に対して25営業日に4〜5日たまると天井の警戒信号としており、その倍以上になる。

8月18日の戻りも型どおりだった。本は、50日線を割った株が50日線まで戻して押し返される場面を、下げが続く合図の一つに挙げる。8月18日の高値2,584円は、その日の50日線とちょうど同じ値で、翌日は8.6%下げた。市場全体と比べた弱さも大きく、6月3日から9月18日までにTOPIXは2.4%上げたが、住友電工はTOPIXに対して42%弱くなった。相場全体が崩れたわけではなく、住友電工と電線株から資金が抜けた下げだった。

下がるたびに増えた信用買いと、8月に買い戻した売り方

信用取引の残高からは、下げの途中で買った人が多いことが分かる。

住友電工の信用買い残・売り残(週次)と日証金の融資残・貸株残(日次)の推移
上は全市場の信用残(週次)、下は日証金の貸借残(日次)。いずれも株式分割を調整した株数。

全市場の信用買い残(お金を借りて買い、まだ返していない株数)は、株価が上がった5月から6月初めに減り、6月5日の週に674万株で底を打った。そこから下げの間に増え続け、9月11日の週には1,254万株と倍近くになった。反対に信用売り残は、7月31日の週の131万株から翌週に13万株まで減った。決算をはさんで、売っていた人たちが一斉に買い戻したことになる。日証金の貸株残も7月31日の95万株から、8月4日には1万株あまりまで減った。

この組み合わせは戻りを重くする。下げの途中で信用で買った人は、株価が買値の近くまで戻ると売りに回りやすい。そして、買い戻しで株価を押し上げる売り方は、もうほとんど残っていない。9月11日時点の信用倍率は43.8倍で、買い残が売り残の40倍を超えている。

過ぎた売る側の入り口と、まだ出ていない買いの合図

この本は、天井を付けた株を売る側から見た入り口として、右肩ができている途中、首の線を割った直後、50日線まで戻して押し返されたときを挙げている。住友電工ではそれぞれ6月19日〜23日、7月7日、8月18日にあたり、どれもすでに過ぎた。高値から44%下げた今は、売る側から見ても遅い位置にある。本は相場全体が下げているときに売るよう勧めているが、TOPIXは8月中旬の最高値の近くにあって、その条件もそろっていない。

買う側の合図も出ていない。オニールが買いの合図とするのは、数週間かけて横ばいで底を固めた株が、出来高を伴ってその上限を抜けるときだ。住友電工はまだ底を固める形を作っておらず、株価は50日線と200日線の両方の下にあり、50日線は下を向いている。業績の面では持ち続ける理由のある会社だが、値動きの面では、新しく買う理由がまだ出ていない。

休場明けの材料と、判断を変える条件

日本の市場が3連休の間に、材料が一つ出た。9月22日、Meta、NEC、住友電工は、米国とフランスを結ぶ約7,000kmの海底ケーブル「Petal」の構築で協業すると発表した。1本のファイバーに光の通り道を2本持たせたマルチコアファイバーを24対すべてに使い、住友電工がそのファイバーを供給する。運用開始は2029年で、金額は開示されていない。今期の業績への影響は小さいが、光の技術で大手ITの設備投資に食い込めることを示す材料ではある。

休場中に米国の半導体株が上げたこともあり、9月24日は高く始まる可能性がある。ただ、先に見たとおり、7月以降は高く寄り付いた8回のうち7回で始値より安く引けた。寄り付きの値段より、その日の終わり方のほうが、売りたい人がまだ上に待っているかを教えてくれる。

自分が見方を変えるのは、次のどちらかを確かめたときにする。

  • 値動きの条件:200日線(9月18日時点で2,314円)を、50日平均の1.5倍以上の出来高を伴って終値で上回る。その前に数週間の横ばいで底を固めていれば、なおよい
  • 業績の条件:10月末ごろの7〜9月期決算で、情報通信の営業利益が4〜6月期の272億円を上回り、決算を受けた取引日の終値が始値を上回る

反対に、9月15日の安値1,961円を終値で割り込むなら、天井のあとの下げがもう一段進んだと読む。

この先のリスク

  • AI向けの設備投資が一巡すると、利益の伸びを引っぱる情報通信が鈍る。中期経営計画は2028年度に営業利益の4割を情報通信で稼ぐ前提にしている
  • 自動車は中東情勢による原材料高と銅高で減益が続いている。米国の関税の扱いが変われば、ワイヤーハーネスの採算に響く
  • 9月にFRBと日銀がそろって利上げし、米国の長期金利は5%前後まで上がった。金利が高いほど、PERの高い株は下がりやすい
  • 円高に振れると、会社予想の上振れ余地が小さくなる
  • 信用買い残1,254万株が、戻りの場面で売りに回る
▶ 9月18日時点の整理

住友電工の業績は伸びていて、4〜6月期の営業利益は前年の1.6倍、通期予想も引き上げられた。それでも株価は6月3日の3,712.5円から44%下げ、チャートでは6〜7月に三尊天井が完成し、8月18日には50日線への戻りも押し返された。PERは19倍で、中期計画をほぼ達成する前提の値段にある。業績の強さが株価に戻ってくるのは、光の伸びが会社の控えめな予想を上回ると確かめられたときで、その最初の答えは10月末ごろの決算で出る。

出典: 住友電工 2027年3月期第1四半期 決算補足資料(2026年7月31日)、住友電工 IR資料室(決算短信)

※本記事は公開情報に基づく情報整理であり、個人の見解を含みます。特定の銘柄の売買や投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。

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