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デクセリアルズ(4980) 第3四半期決算の翌日に20%下落 — 10〜12月は営業利益10.7%増

  • 決算の翌日に株価は19.64%下げ、時価総額は1日で1,000億円以上減った — 4〜12月の営業利益は7.3%減だったが、急落の主な理由は事業の悪化ではなく、テンバガー候補への高い期待に対して目立つ材料のない決算だったこと
  • 10〜12月の3か月だけなら営業利益は10.7%増え、売上高営業利益率は35.4% — 上期に集中した成長投資の負担が軽くなり始めており、稼ぐ力は落ちていない
  • 鹿沼第2工場とデータセンター向け光半導体という成長の柱は残っている — 次は1〜3月期の利益のペースと、5月の本決算で出る来期の計画を確かめたい
デクセリアルズ(4980) 第3四半期決算後の株価急落

1日で時価総額が1,000億円以上減った。デクセリアルズ(4980)が2026年2月9日に2026年3月期の第3四半期決算を発表すると、翌10日の株価は前日比608円安(-19.64%)の2,487円まで下げた。4〜12月の営業利益は前年同期比7.3%減で、テンバガー(株価が10倍になる、またはその候補とされる銘柄)として個人投資家に人気があった分、売りが膨らんだ。ただ、10〜12月の3か月だけを見ると営業利益は10.7%増えていて、事業そのものが傷んだ決算ではない。

2024年9月
1株を3株にする株式分割を実施。
2025年11月17日
取引時間中に3,333円の上場来高値を付ける。
2026年2月9日
2026年3月期の第3四半期決算を発表。4〜12月の営業利益は前年同期比7.3%減、通期予想は据え置き。
2026年2月10日
株価は前日比608円安(-19.64%)の2,487円まで急落。出来高は1,157万株に膨らんだ。

決算の翌日に20%安、出来高は前日の約6倍

株価(2/10終値)
2,487円
前日比 -608円(-19.64%)
出来高
1,157万株
前日の約6倍
時価総額
約4,346億円
プライム市場
予想PER
約16倍
2/10終値で計算。実績PBR 4.72倍

2月9日(月)に発表された決算を受け、翌10日は寄り付きから大きく売られた。10〜12月期の営業利益105億円は前年同期より10.7%多かったが、市場の予想(アナリストの予想の平均)を10億円以上下回ったとみられている。

通期の予想も据え置き(営業利益390億円、前期比1.8%減)で、目立つ材料がなかったことも売りにつながった。前回の決算発表では上振れを期待させる内容だったので、今回の変化のない内容がかえって失望を呼んだ。

下げを大きくした要因

期待の高さ
テンバガー候補として人気が高く、個人投資家の持ち株の比率も高い銘柄だった。決算に目立つ材料がなかったため、失望した売りが膨らんだ。

成長投資で増えた固定費
鹿沼第2工場の建設や光半導体向けの設備投資を前倒ししたことで、減価償却費などの固定費が増え、利益を押し下げた。目先の稼ぐ力が落ちたと受け止められた。

外部環境への不安
中国の自動車業界向けの競争が激しくなり、メモリーの値上がりの影響も残っていて、事業環境への不安が売りを後押しした。

4〜12月は減益、10〜12月は増益

第3四半期累計(4〜12月)の業績

項目 実績 前年同期比 通期予想 進捗率
売上高 872.96億円 +0.2% 1,140億円 76.6%
営業利益 304.51億円 -7.3% 390億円 78.1%
経常利益 305.59億円 -5.9% — —
最終利益 212.67億円 -8.9% 260億円 81.8%
1株利益 126.2円 -7.2% — —

増益に戻った10〜12月の3か月

10〜12月期の数字

営業利益:105億円(前年同期比 +10.7%)

最終利益:78.5億円(前年同期比 +4.8%)

売上高営業利益率:35.4%(前年同期の34.6%から上昇)

上期(4〜9月)に集中した成長投資の負担が軽くなり始めたとみられ、10〜12月は利益率も前年同期を上回った。売上高に対する営業利益の割合が35.4%というのは製造業ではかなり高く、稼ぐ力は落ちていない。見出しの「累計7.3%減益」だけでは、この回復は見えない。

慎重な見積もりに見える通期予想の据え置き

2026年3月期の通期予想(会社計画、据え置き)

項目 通期予想 前期比
売上高 1,140億円 +3.3%
営業利益 390億円 -1.8%
最終利益 260億円 -6.3%

通期予想の据え置きは市場に嫌われたが、会社が慎重に見積もっているだけのように見える。予想を達成するのに1〜3月期に必要な営業利益は約85.5億円で、10〜12月の105億円のペースなら十分に届く水準だ。

市場の予想が会社の計画をやや上回っていたので、上方修正を見送ったのは慎重すぎるとも見えるが、中国の自動車市場の先行きや為替のリスクを考えた堅実な判断とも受け取れる。個人的には、届きそうな数字を無理に上方修正しない姿勢は、むしろ信頼できると見ている。

通期予想に対する進捗率

売上高
76.6%
営業利益
78.1%
最終利益
81.8%
前年の最終利益(3Q時点)
82.5%

最終利益の進捗率は81.8%で、前年の同じ時期(82.5%)とほぼ同じだ。通期の計画は達成できる可能性が高い。

主力は反射防止フィルムと接着材、投資先は光半導体

2つの事業

同社は機能性材料のメーカーで、事業は「光学材料部品」と「電子材料部品」の2つに分かれる。どちらも、市場は小さいが世界で首位のシェアを持つ製品が中心だ。

光学材料部品

反射防止フィルム 光学弾性樹脂
スマートフォン・タブレット・自動車用ディスプレイ向け。iPhoneなどの高価格帯のスマートフォンに使われる反射防止フィルムで、世界的に高いシェアを持つ。

電子材料部品

異方性導電膜(ACF) 光半導体
異方性導電膜(ACF。微細な電子部品どうしを電気的につなぐ接着材)は1977年に世界で初めて量産し、世界シェアは首位。近年はデータセンター向けの光半導体が急成長している。

成長投資は鹿沼第2工場と光半導体

2024年5月
中期経営計画2028「進化の実現」を策定。2029年3月期までの5年間で、データセンター・AI関連向けの光半導体を重点成長分野に位置付けた。
2025年〜2026年
鹿沼第2工場の建設を進める。デジタル化による効率のよい工場を目指す。光半導体の需要が急に増えているため、設備投資を前倒しで実行している。
2026年3月期
成長投資に伴う減価償却費などの固定費の増加が、営業利益を押し下げた。
2026年度以降(見通し)
鹿沼第2工場の稼働で生産能力が大きく増える。データセンター向け光半導体の売上拡大が本格化する見込み。

今期の減益の理由になった固定費の増加は、この成長投資から来ている。工場の建設で減価償却費が先に出て、研究開発費も増え、目先の利益を押し下げている。AIの普及でデータセンターが増えるほど、そこで使う光半導体も売れるので、この投資は中長期の成長に欠かせない。利益が一時的に減っているのは、種をまいている段階だと個人的には読んでいる。

iPhone向けの部材に伴うApple頼みのリスク

光学材料部品の事業では、Apple向け(主にiPhoneとiPad)の比率がかなり高いとされる。同社の反射防止フィルムは独自の微細な加工技術で、高価格帯のスマートフォンの画面を見やすくする部材として採用されてきた。

Apple関連で伸びる材料と、下げる材料

伸びる材料

iPhone 17シリーズへの採用期待:新しいディスプレイ技術で使われれば、反射防止フィルムの単価が上がる見込み。

Apple Vision Pro関連:XR(VR・ARなど、現実を拡張する技術の総称)の機器が広がれば、精度の高い光学部材の需要が中長期に増える可能性がある。

車載ディスプレイ:車の画面は大きく、数も増えており、採用が広がれば成長を後押しする。

リスク

Apple頼みの高さ:売上が特定の顧客に集中している。Appleの製品戦略や仕入れ先の変更の影響を受けやすい。

中国のパネルメーカーの追い上げ:BOEなど中国のパネルメーカーの技術が上がり、価格競争が激しくなる可能性がある。

スマートフォン市場の成熟:世界的にスマートフォンの買い替えの間隔が長くなり、台数での成長には限りがある。

同社はこのApple頼みのリスクを減らすため、データセンター向け光半導体やXR向け光学部材など、スマートフォン以外の分野を広げている。スマートフォンへの依存を下げながら、次の稼ぎ頭を育てる狙いだ。

上場来高値から25%下げても、上場時の4倍以上

デクセリアルズは2015年の上場以来、業績の伸びとともに株価が大きく上がり、テンバガー候補として広く知られるようになった。2024年9月に1株を3株にする分割をして、個人投資家も買いやすくなった。なお、分割そのものが株価を押し上げるわけではないことは、後日、分割530件を検証した記事で確かめた。

株価の節目

時期 株価水準 イベント
2015年7月 約530円(分割調整後) 東京証券取引所に上場
2024年9月 — 1株を3株に分割
2025年11月17日 3,333円 上場来高値(取引時間中)
2026年2月10日 2,487円 第3四半期決算の翌日の急落

2025年11月17日の上場来高値3,333円からの下げ幅は、約25%になった。それでも株価は、上場したときの約530円と比べれば4倍以上に上がったままで、データセンター向けに光半導体が売れていくという数年単位の見通しが崩れたわけではない。

個人投資家の人気と、売りの偏り

同社は個人投資家の持ち株の比率が比較的高く、人気の高い銘柄だ。こうした銘柄は好決算で急騰しやすい反面、期待を下回る決算では、信用取引の追証(損が膨らんだときに追加で求められる保証金)や損切りの売りが連鎖し、下げが下げを呼びやすい。今回の出来高1,157万株は、こうした売りが一度に出た結果だと考えられる。

中長期の伸びしろは光半導体

光半導体(データセンター向け)
期待大
XR光学部材
有望
車載ディスプレイ
成長中
スマホ向け光学
成熟

AIとデータセンターの需要が急に増えていることは、同社にとって追い風だ。同社の光半導体は、データセンターの中で高速の光通信に使われる部品になる。光部品がAIの供給網の中でも品不足が目立つ分野になっていることは、後日、生成AIのボトルネックを調べた記事で整理した。鹿沼第2工場が動き出して供給が増えれば、売上と利益の伸びが速まる余地がある。

まとめ — 1〜3月期と来期の計画で確かめること

▶ まとめ

第3四半期決算は、4〜12月の累計では減益だったが、10〜12月の3か月では利益が戻っていた。約20%の急落の主な理由は、テンバガー候補としての高い期待と、目立つ材料のない決算とのずれで、事業そのものが傷んだわけではない。

同社は営業利益率30%超の稼ぐ力を保ちながら、光半導体・XR・車載の3分野に投資している。鹿沼第2工場の稼働とデータセンター向け光半導体の拡大が本格化すれば、中期経営計画2028の目標に届く可能性は十分ある。

次に確かめること

自分がこの株を見るなら、1〜3月期に10〜12月と同じくらいの利益のペースが続くかと、5月の本決算で出る来期の計画に、成長投資の成果が数字として表れ始めるかを確かめる。自社株買いや増配が出れば、買い手が増えて株価の支えにもなる。1〜3月期の利益と来期の計画がどちらも期待を下回れば、今回の下げを期待の調整とだけ見るのは難しくなる。人気の高い銘柄ほど、期待がはがれたときの反動は大きいので、短期の急落と数年がかりの成長は分けて見ておきたい。

※本記事は公開情報に基づく情報整理であり、個人の見解を含みます。特定の銘柄の売買や投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。

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